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御朱印
国宝の白鳳仏がある蟹満寺では、ご本尊の『釈迦如来』の御朱印をいただきました。
本来右上には、お寺の名や霊場などの印が押されるのですが、蟹満寺は蟹のイラストの印が押されています。最高に素敵です!
中央の朱印も梵字ではなく、独特のデザインです。何を表しているのでしょう?
その他にもいくつかあるようで全部で5種類ほどの御朱印がいただけます。御朱印料(値段)は1つ300円です。
①『釈迦如来』
②『梵字で聖観音』
③『厄除聖観音』
④『国見観音』 南山城三十三所観音霊場 第二十八番札所
蟹満寺の歴史
蟹満寺の創建や由緒については詳しくわかっていないようでが、周辺の発掘調査より、今から1300年以上前の飛鳥時代(7世紀後半)の創建と推測されるそうです。
創建当時は薬師寺金堂と同じくらいの大きなお堂のある大規模な伽藍であったということも発掘調査で分かっているのだとか。
蟹満寺は、「今昔物語集」などに登場する『蟹の恩返し』のお話で良く知られています。
創建当時のお寺のご本尊は観音菩薩だったそうですが、現在は飛鳥時代後期(白鳳期)に造られた国宝の釈迦如来坐像をご本尊としています。
蟹の恩返し
「今昔物語集」に蟹満寺にまつわるこんなお話があります。
今は昔、山城の国久世の郡に娘が住んでいました。
娘は幼い頃から観音様を熱心に拝んでいたので、とても慈悲深く優しい心を持っていました。
ある時娘が遊びに出かけると、村人が蟹を食べようと捕まえ縄で縛っていました。蟹は口から泡をブクブクと出してとても苦しそうです。
娘は蟹をかわいそうに思い、「自分の家にある魚をあげるから蟹を逃がしてやってほしい」と男に言いました。男は、食べるなら魚の方がいいなと考え蟹を娘に渡し魚をもらいました。娘は蟹を川へ逃がしてやりました。
一方その頃、娘の父は、田んぼで蛙を飲み込もうと大きな口を開けている蛇に出くわしました。娘の父は蛇に、「蛙を食べないでやってくれ」と頼みました。しかし、蛇はまだ蛙を飲み込もうとしています。そこで娘の父は、「その蛙を助けてくれたら、私の娘を蛇の嫁にする」と大蛇に言いました。すると蛇は納得したようで、蛙をあきらめ藪の中へ帰っていきました。
娘の父は、蛇と大変な約束をしてしまったと後悔します。
父の様子がいつもと違うので娘が父に尋ねると、父は田んぼでの出来事を娘に話しました。
その夜、家の門をたたく音がしました。父は、あの蛇が娘を迎えに来たのだと思い、娘にどうするか聞きました。娘は「3日後に来てください、と伝えて」と言いました。
父は恐れながら門を開けると、そこには赤い服を着た男がいました。
父は男に3日後に来てくれるよう伝えると、男はわかりましたと去っていきました。
3日後の夜、再び門をたたく音がします。
娘は、家の中に造った厚い板の蔵の中に隠れ観音様に祈っていました。
父が門を開けると、赤い服の男が立っていました。
男は蔵を見るなり「私をだましたのか」と怒り、蛇の姿へ変わり蔵に巻き付きギシギシと締め上げバンバン尾で叩き蔵を壊そうとします。
夜中の間ずっと、ギシギシバンバンという音が響いていました。娘はその間、蔵の中で一心に法華経を唱え観音様に祈っていました。
すると、娘の目の前に1人の僧が現れ「恐れることはない、観音様に祈り続ければ蛇は立ち去るであろう」と告げて消えました。
それと同時に、蛇のギシギシバンバンという音が次第に弱くなっていくのがわかりました。
夜が明けて蔵の外に出てみると、大きな蟹とたくさんの小さな蟹が蛇と戦って切り刻み倒していました。蟹は娘の姿を見るとどこかへ去っていきました。
親子は蛇の亡骸を埋めて、その上に観音様を祀る寺を建てました。
国宝 釈迦如来坐像
本堂の中央に安置されています。
本堂内部は常時拝観可能で、1300年以上前に造られた国宝の仏像をびっくりするくらい近くで拝観できます。
ご本尊の釈迦如来坐像は、今から1300年ほど前の飛鳥時代の白鳳期に造られた像高約250cmの丈六(じょうろく)の金銅仏です。
鍍金(ときん)は残っておらず、全体が黒光りしています。
この仏像は、白鳳期の仏像の代表作の薬師寺金堂の薬師三尊像にとても近いものなのだそうです。
しかし、薬師寺の薬師三尊像よりも銅の厚みが薄いことから、薬師三尊像より鋳造技術が発達した少し後の時代に造られたものと見られているそうです。
ちなみに、蟹満寺の釈迦如来坐像の銅の厚みは2ミリで像全体が2ミリの均一になっているのだそうです。(蟹満寺の釈迦如来の重さ2トン、薬師寺の薬師如来坐像の重さ4トン、このことからも薄いことがわかるのだそうです。)
こちらのお釈迦様はもっちりとしたお顔に、スッと切れ長の目に涙袋がはっきりとみてとれます。目は厳しいのですが、涙袋がなんだか笑っているみたいに見えます。徳光和夫さんに似ていますね。
この仏像の注目ポイントは、お釈迦様の手です。
仏様を表す際の三十二相のルールのうちの一つ「手足指縵網相(しゅそくし・まんもう・そう)」がはっきりとわかります。
手足指縵網相(しゅそくし・まんもう・そう)とは、指のあいだにある水かきのような膜のことです。
たくさんの人を救えるようにとこのような水かきがあるのだとか。
この水かきは、悟りを開いた如来では第一関節からあり、悟りを開く前の菩薩では第二関節からあるそうです。
境内の至る所に蟹モチーフ
蟹満寺の境内はそれほど広くはありません。
ご本尊の釈迦如来が安置されている本堂とその脇に拝観受付や御朱印など授与を行う授与所があり、小さなお庭があるのみです。
本堂は、2010年4月に完成したとても新しいものです。
本堂の梁や瓦、境内の燈籠やお賽銭箱など至る所に蟹さんがいます。
この蟹の紋は、牡丹の花を蟹にアレンジしたの紋なのだとか。
言われると確かに!ボディーが牡丹の花で、目や手足が葉っぱになっています!!おっしゃれ―!
その他、授与品でおすすめが蟹の根付けです。ちっちゃな蟹がかわいいです。私は参拝専用五円玉入れに付けていつも一緒にお寺をまわっています。
アクセスについて
【公共交通機関でのアクセス】
■JR奈良線
「棚倉駅」下車、徒歩約20分
■コミュニティーバス山城線(平日のみ1時間毎1本)
「蟹満寺口」下車、徒歩約5分
【駐車場】
有ります。
収容台数:普通車4台
駐車料金:無料
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