浄瑠璃寺の美しい吉祥天像や九体阿弥陀と御朱印と見どころ

もくじ
  1. 御朱印
  2. 御開帳・特別公開期間まとめ
  3. 浄瑠璃寺の歴史
  4. 浄瑠璃寺の見どころ
  5. 浄土式庭園
  6. 三重塔
  7. 国宝 本堂
  8. 国宝 阿弥陀如来坐像
  9. 秘仏 吉祥天女像
  10. 博物館で見られる浄瑠璃寺の仏像
  11. アクセスについて
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御朱印

京都と奈良の境目にある浄瑠璃寺でいただいた御朱印は『九体佛』の1種類でした。
御朱印料(値段)は1つ300円です。
本堂内でいただけます。

この他に、3つの霊場の札所となっているので全部で4種類の御朱印と御詠歌がいただけるようです。

①『九体佛』
②『九体佛』 関西花の寺霊場 第十六番札所
③『瑠璃光』 西国薬師四十九霊場 第三十七番札所
④『阿弥陀如来』 仏塔古寺十八尊霊場 第十番札所

 

浄瑠璃寺の御朱印 九体佛

御開帳・特別公開期間まとめ

吉祥天女像の御開帳】
■正月 1月1日~1月15日
■春季 3月21日~5月20日
■秋季 10月1日~11月30日

【三重塔 薬師如来特別公開】
■正月 1月1日~1月15日
■毎月8日
■春分の日
■秋分の日
※好天の日に限る

【潅頂堂(かんじょうどう)大日如来特別公開公開】
■1月8日~10日(3日間)

 

浄瑠璃寺の歴史

浄瑠璃寺は、京都と奈良の境目に位置する当尾地区にある真言律宗のお寺です。かつては「西小田原寺」と呼ばれたそうです。

本堂に9体の阿弥陀如来坐像を安置することから「九体寺(くたいじ)」とも呼ばれます。

浄瑠璃寺は、平安時代(1047年)に義明上人により本堂が建てられたことにはじまります。この時のご本尊は、現在三重塔に祀られている薬師如来であったと伝わります。

その約100年後、1107年に新しい本堂が建てられ、翌年(1108年)に開眼供養が行われました。この時の建物と仏像が現存する本堂と9体の阿弥陀如来像と考えられています。

50年後に本堂は池の西側、現在の地へ移築されました。
その後、食堂・釜屋・十万堂(真言堂)などのお堂が建てられ、1178年には京都の一条大宮から三重塔が移築されました。
この時移築された三重塔が、現在庭園の池をはさんで本堂と向かい合うように立っている三重塔です。

室町時代の火災によって多くの建物が焼失しましたが、江戸時代には復興し、本堂・真言堂・三重塔・護摩堂・念仏堂など多くのお堂が建てられました。
最盛期には、子院(お寺に属する末寺)が16ほどあり現在よりも大きなお寺だったと伝わります。

浄瑠璃寺は、長い間興福寺の末寺(一乗院に属する)でしたが、現在は真言律宗となり西大寺の末寺に属しています。

浄瑠璃寺 山門

浄瑠璃寺の見どころ

浄瑠璃寺は、仏像好きであればその名を聞いたことがあると思いますが
何度も訪れたいと思うほどに、素晴らしい仏像がたくさんおわすお寺で、仏像好き必見のお寺です。

浄瑠璃寺というと、美しい吉祥天女像が有名ですが、お寺の別名ともなっている国宝の9軀の阿弥陀如来像を忘れてはいけません。
この他にも、国宝の四天王像(いつもメンバーのうち誰かが博物館に出張してます)や不動明王三尊像など、細長いお堂にたくさんの仏像が安置されています。

美しい仏像として有名な吉祥天女像のお厨子の扉は、普段は閉じていて御開帳期間でなければお目にかかれませんが、9軀の阿弥陀如来坐像をはじめ本堂に安置されているその他の仏像は常時拝観可能です。

浄瑠璃寺は仏像以外にもみどころがあります。
浄土式庭園という、仏教の浄土を表したお庭も重要な見どころです。
お堂の配置やその意味を説明されると、
「あぁ、なるほど!素晴らしい!是非とも彼岸の日にまた来てみたい」
と思います。

お庭が素晴らしいお寺は、四季折々の素晴らしい景色が楽しめますが、

春夏秋冬いつ行ってみても美しいが、境内の桜を雨が音もなくぬらしている春が一番、浄瑠璃の浄瑠璃らしい季節なのかもしれない。

―土門 拳「古寺を訪ねて 斑鳩から奈良へ」より―

と写真家の土門拳が言っているので、桜の咲く春が一番美しい季節なのでしょう。

 

浄瑠璃寺 鐘楼

 

浄土式庭園

浄瑠璃寺のお庭は、浄土式庭園(じょうどしきていえん)といって建物を含めて仏教の浄土を表しているお庭の造りになっています。
平安時代に造られたそのままの姿なのだとか。

薬師如来は東方瑠璃光浄土(るりこうじょうど)の主で、現世の苦悩を癒してくれます。
阿弥陀如来は西方極楽浄土(ごくらくじょうど)の主で、未来の理想郷に人々を迎え入れてくれます。

宝池(ほうけい)という池をはさんで向かい合うように、
現世(此岸しがん)のご利益をくださる薬師如来が祀られている三重塔を東に
あの世(彼岸)のご利益をくださる阿弥陀如来が祀られている本堂を西に
配置されている、とてもありがたいお庭なのです。

本堂には秘密の仕掛けが施されています。
彼岸(春分・秋分の日)になると、本堂の真後ろに太陽が沈むようになっています。

元々本堂は、堂内には入らずお堂の外から拝むかたちだったそうです。
彼岸の日には、お堂の板扉が開け放たれます。
9軀の阿弥陀如来像の背後に太陽がが沈むさま、まさに後光が射したありがたいく美しいお姿です。

 

そして、この浄瑠璃寺の浄土式庭園には拝観の順番があります。
太陽が東から登り、西に沈むように

①東側の三重塔、薬師如来に現世のご利益をお願いする
②三重塔の前から池越しに、本堂の阿弥陀如来に極楽浄土へ迎え入れてくださるようにお願いする

 

浄瑠璃寺 三重塔と庭園
浄瑠璃寺 紅葉

 

三重塔

【三重塔 薬師如来特別公開】
■正月 1月1日~1月15日
■毎月8日
■春分の日
■秋分の日
※好天の日に限る

1178年9月20日に京都の一条大宮にあった三重塔を解体し運んできたものと伝わる塔です。
なんというお寺にあったものなのかはわからないのだそうです。

総高16メートルと小ぶりな塔で、平安末期の建築様式と見られ女性的な塔と表現されます。

塔内には、創建当時お寺のご本尊であった薬師如来坐像が安置されています。
とても古い仏像ですが、台座以外の部分は補修されたようで体の金色や袈裟の色柄がよく見えました。

塔の内部は、脇の間板壁に十六羅漢像、扉の内側に法華経曼荼羅図、柱には八方天像と宝樹などが極彩色で描かれています。
十六羅漢像は古く平安時代に描かれたもので、その他は鎌倉時代に描かれたものだそうです。

現在では、その美しい色彩は失われていますが内部前面にびっしりと壁画があった様子はうかがえます。

 

浄瑠璃寺 三重塔

 

国宝 本堂

平安時代(1107年)に建てられたお堂で、九間×一間の細長いお堂です。

九間とは、柱と柱の間が9つあるということで、その1間ずつに9軀の阿弥陀如来像が配置されているのです。

もともとこのお堂は、堂内から拝観する形ではなく
9枚の板扉が開かれ、9軀の阿弥陀様が扉ごとに見えるお堂を、お庭から拝むスタイルでした。

現在は、お堂の中に入って拝観することができます。
堂内から拝観する造りになっていないので、拝観スペースはとても狭いです。
狭いだけに、大きな阿弥陀如来像が9軀もずらりと並ぶお姿はとても迫力があります。
視界のすべてが仏像で埋め尽くされる、贅沢な体験ができます。

本堂に入るとまず、ずらりと並ぶ阿弥陀如来坐像に感動してしまいますが、その他にも多くの仏像が安置されています。

国宝 四天王像

本堂の九体阿弥陀の四隅に安置される四天王像で、国宝に指定されています。

国宝の素晴らしい四天王ですが、お堂の端にギュウギュウ詰めで重なり合って安置されています。四天王のうちお二方しかおられませんでした。
不在のお二方は東京国立博物館などに出張中なのでしょう、
お堂の中に居場所がないからでしょうか?

平安時代の作で、仏像本体はもちろん、光背(炎の部分のみの地の補修)や台座までとても保存状態が良く、当初のみごとな色彩や截金細工が今でもはっきりとわかります。

どっしりとした迫力のある甲冑が、小顔をさらに際立たせていてとってもスタイルの良い仏像です。
ウエストベルトのバックル部分にいる獅嚙(しがみ・帯を噛んでいる獅子の頭)や踏みつけられている邪気(じゃき・地獄に落ちた亡者)の表情に勢いがあってとってもかわいいです!

不動明王三尊像

こちらのお像もお堂の端(北側)に狭そうに安置されています。

鎌倉時代の末期に造られたもので、中尊に不動明王立像、向かって右に矜羯羅童子(こんがらどうじ、向かって左に制多迦童子(せいたかどうじ)の三尊です。

向かって左の制多迦童子、運慶の童子と違ってお団子頭ではありませんが、体が赤いので同じ童子だとわかります。
杖に顎を置いて睨みをきかせている表情が、何とも愛くるしいです。

地蔵菩薩立像

本堂の中央、向かって右側に安置されています。
平安時代の作とみられるヒノキの寄木(よせぎ)造り、像高157センチ

左手に宝珠(人々を苦しみから救い願いを叶える玉)をのせ、右腕は掌を下向きに伸ばすポーズをしています。
このポーズは平安時代の終わりから一般的になる錫杖(音の鳴る杖)をもつ地蔵菩薩より古い時代の様式なのだそうです。

通称「子安地蔵(こやすじぞう)」と呼ばれていて、安産にご利益があるのだとか。袈裟のはだけた隙間から、ちらりと腹巻をまいているのが見えます。

 

浄瑠璃寺 庭園と本堂

 

国宝 阿弥陀如来坐像

本堂にずらりとならんでいる9軀の阿弥陀如来坐像で浄瑠璃寺のご本尊です。

中央の大きな光背の周丈六(221cm)の阿弥陀如来坐像を中心に左右に4軀ずつ半丈六(約140cm)の阿弥陀所来坐像が配置されています。

阿弥陀如来像が9軀も祀られている理由は、極楽浄土への段階は生前の行いによって9種類に分かれるという考え方「九品(くほん)思想」に基づいています。
9軀の阿弥陀様はそれぞれの段階の担当になっています。
生前の行いがどの段階で死んでしまっても、この9軀の阿弥陀様をしっかり拝んでおけば心安らかに往生できるというシステムなのです。

平安末期には、九体阿弥陀が京都を中心に30以上も造られたと伝わりますが、すべて失われてしまい現在はこの浄瑠璃寺にしか残っていません。

9軀すべてが平安末期のほぼ同時期に造られ、定朝様式のふっくらと穏やかなお顔をされています。
よく見ると、それぞれお顔が全然違います。それに光背(後ろの板)の図柄もそれぞれに違っています。
9段階のレベルに合わせてそれぞれの意味を表した図柄になっているのでしょう。

中尊の大きな阿弥陀如来像の光背にも注目です。
江戸時代の作と伝わるものですが、天女や如来ががあしらわれて金色に輝いています。よく見ると全体が小さな化仏(けぶつ)で埋め尽くされています。この化仏なんと1000体もついているのだそうです!ひとつひとつ丁寧に造られていて、細やかな仕事に感動します。

 

秘仏 吉祥天女像

吉祥天女像の御開帳】
■正月 1月1日~1月15日
■春季 3月21日~5月20日
■秋季 10月1日~11月30日

その美貌で、仏像界の有名人となっている浄瑠璃寺の吉祥天女像、女神の増でこれほど有名な仏像はこのお方だけではないでしょうか?
有名人すぎて、様々な展覧会に出張さてれいるので御開帳時でなくても別の場所でお目にかかれることも多いです。

本堂、中尊の脇のお厨子の中に吉祥天立像は安置されています。
鎌倉時代(1212年)の作で像高90cmと小さめのお像です。

もっちりとした左手を曲げ、掌に宝珠をのせ、右手は下に下げたポーズをしています。
お顔もふっくらともち肌で、雪見大福みたいです。
眼は切れ長でお口はおちょぼ口、紅の色も美しく残っていて平安美人といった感じです。

何が美しいって、吉祥天女が身に着けているアクセサリーやファッションです。
冠やネックレスの花をモチーフにした細やかなデザインはとてもおしゃれで、冠の頂上には鳳凰までとまっています。
身に着けている衣も、口紅の色と合った紅をベースに、極彩色の柄があしらわれています。
ウエストに真っ白なリボンを巻いていて、その流れ落ちるしなやかな質感がとても女性的です。
ウエストのくびれから裾に広がるマーメイシルエットがなんともセクシーなんです!

ついたくさん語ってしまいましたが、
まとめると、吉祥天女像はファッションがスーパーおしゃれだということ。

このお像が納められているお厨子は春日厨子といって、繊細で美しい図が描かれていてすばらしいです。

内部には、弁財天とその眷属(けんぞく)、梵天・帝釈天、四天王像が描かれています。

吉祥天女像は、この華やかな春日厨子の中に納められて椅子姿が一番美しいです。

 

博物館で見られる浄瑠璃寺の仏像

浄瑠璃寺の四天王像や十二神将像は、東京国立博物館や京都国立博物館などによく出張されているようです。

たまたま、東京国立博物館で四天王の広目天、十二神将の巳神・申神・戌神がみられたのでご紹介しておきます。

 

浄瑠璃寺 広目天
浄瑠璃寺 広目天
浄瑠璃寺 広目天 衣の紋様

 

浄瑠璃寺 巳神
浄瑠璃寺 申神
浄瑠璃寺 戌神

 

アクセスについて

【公共交通機関でのアクセス】

■JR奈良駅から奈良交通バス111系統
⇒「浄瑠璃寺前」下車
■JR大和路線加茂駅東口から奈良交通バス111系統
⇒「浄瑠璃寺前」下車

【駐車場】

有ります。(民間駐車場)
収容台数:50台
駐車料金:300円

 

浄瑠璃寺 参道 ねこ
浄瑠璃寺 参道
小田原山 浄瑠璃寺
京都府木津川市加茂町西小札場40
■霊場
西国薬師四十九霊場 第三十七番札所
関西花の寺霊場 第十六番札所
仏塔古寺十八尊霊場 第十番札所
南山城十一ヶ寺御朱印めぐり
拝観時間
3月~11月 9:00~17:00
12月~2月 10:00~16:00
■拝観料
400円(2017年4月より)

【今回の旅のルート】

『浄瑠璃寺』『岩船寺』『蟹満寺』『平等院鳳凰堂』と廻りました。(マイカーで廻っています)

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2017年10月26日 by gogogosyuinnagither

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